エンドオブダイヤルの知名度の低さに驚愕した件

今日も電気通信主任技術者の話題から少しそれてしまいますけど、「電話交換機」の機能についてのお話です。

電話交換機に収容されている回線の種別によって局舎または相手先と呼が接続されるために所要する時間は異なりますが、その「接続時間」短縮するためにエンドオブダイヤルという機能があります。

とはいえ、実際には接続するための時間が短くなって早く繋がるのではなくて、ダイヤル数字送出終了を宣言することによって交換機から局へ対して即時に数字信号を送出させることが出来るので結果「早く繋がる」ということです。

簡単にいうと、多くの電話交換機ではエンドオブダイヤルは「#」に設定されていることが多いので、相手番号をダイヤルした後に「#」を押せば普段より早く繋がる(気がする)というものです。

なぜ今頃になってこんな「エンドオブダイヤル」の話をしたかというと、ライフハッカー[日本版]で下のような記事を見かけたからです。

仕事の休憩中、ある営業さんがこんなことを言い出しました。

「電話をかける時、最後に『#(シャープ)』を押すと早くつながるって常識だよね?」

…知りませんでした。その営業さんいわく「電話番号を押してからつながるまでに待ち時間があるでしょ。あの時間が短くなって、すぐにつながるようになる」というのです。半信半疑で試してみたところ、たしかに早くつながりました。

参照:電話をかける時、番号の最後に「#」をつけるとちょっと早くつながる : ライフハッカー[日本版]

何だかこの記事が少し注目を集めているようでビックリしました・・・

「知らなかったの?」って感じです。

まぁ、電話交換機の機能に興味のない方は知らなくて当然なのかもしれませんが、せめて電気通信主任技術者の試験に関わる方であれば今現在どのような企業に勤めてらっしゃるのか、これからどのような企業に就職されるのかは解りませんけど、そういった機能がある事くらいは知っておいても損はないと思うんですよね。

(多分こんな知識は電気通信主任技術者の試験には出題されませんけどね…)

さて、

電話交換機において、なぜこのような「エンドオブダイヤル」という機能が必要なのかということですが、電話交換機に収容されている回線がアナログ局線であれば一桁ずつ局に対して送出されるので、相手番号を全桁ダイヤルした時点で呼び出し信号が創出されるんだけど、収容している回線がISDNであった場合は少し条件が異なるのです。

ISDN回線はデジタル回線であるが故に、相手番号を全桁識別した上で一気に局に送出します。

そこで、交換機本体には「どこでダイヤル数字が終わったのか?」を識別することが難しい為、一般的には一定時間待ってから送出するんです。

例えば、携帯番号「090-XXXX-XXXX」にダイヤルするのであれば11桁ですし、市外局番から一般電話にダイヤルするときは「06-XXXX-XXXX」など10桁になりますし、天気予報や時報それにフリーダイヤルなどに電話するとき、または市外局番なしで市内局番からダイヤルするときだって桁数は異なりますよね?

ここで交換機には「どこでダイヤル数字が終わったのか?」を教えてあげるためにエンドオブダイヤルを付与してあげることによって、ダイヤルが終わったことを宣言できるようにしているんです。

逆にエンドオブダイヤルが無い場合は一定時間数字がダイヤルされないことを待ってから局に対してダイヤル数字を投げることになるので、ISDN回線などでは接続が遅いんですよ。

「なんで待つの?」なんて疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんけど、例えば携帯番号相手にダイヤルしようとして「090の~」って相手番号をのんびりダイヤルしている途中で送出されてしまったら番号誤りで接続できませんよね?しっかりと相手番号を覚えていて毎回誰もが淡々とダイヤル出来ればいいんだけど、相手番号の11桁を瞬時に覚えるのは大変だし、メモや電話帳を確認しながらダイヤルしてると「え~っと・・・」ってまごつくことだってあるでしょ?

だから少しの間「次のダイヤルはもう来ないかな?」って交換機ちゃんは待ってくれているのです。

よくユーザさんからはダイヤル数字の冒頭が「090」だったら11桁受信すれば即時送出して、「06」なら10桁で即時送出すればいいんじゃない?なんて言われるんですけど、この制御は「番号計画」といって交換機の規模によっては事細かに設定できない機種もありますし、それに沢山の番号計画を登録しないといけないので大変なんですよね・・・

もしも冒頭の番号によって桁数を決定させるのであれば、そのユーザがダイヤルするであろう番号の冒頭を網羅して電話交換機にダイヤル数字と桁数を登録しておかないと「繋がらない番号」などができてしまいますからね。

そのあたりの「番号計画設定の難しさ」とか「アナログ回線の場合はどうなの?」なんて話題はまた改めて紹介しますね。

そんなワケで、電話をかけるとき番号の最後に「#」をつけるとちょっと早くつながるんだけど、これはエンドオブダイヤルって交換機の機能だって話題でした。

もちろんこの機能は交換機にエンドオブダイヤルの設定が入っていなければ使用することはできませんし、交換機ではなくて電話機自体がプッシュ信号を送出できないダイヤルパルス式である場合も使用できないので注意が必要ですけどね。

今回の話題は多分電気通信主任技術者の交換の科目の中でも出題される可能性は無いに等しいと思うんですけど、「交換機にはこんな仕組みがあるんだな」程度に頭に残しておくといいと思うよ。



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