電話屋さん以外わかるのか?「固定電話市場における電話サービスの概要」の問題

今日は少し変わった・・・いや、困った問題です。

「固定電話市場における電話サービスの概要」って穴埋め問題なんですけど、少し妙な問題ですよ。

下に紹介する【 】担っている部分が虫食いになっていたので、適切な語句を選択肢から選びだす類の問題だったんだけど、このあたりの知識って参考書や問題集で勉強していても身につけるのは難しいような気がします。

たぶん電話とか交換機の世界で従事している人ならなんとなく回答できるんだろうけど、学生さんとかには厳しい・・・ってか、意味が理解できない可能性があるような気がします。

問題自身はそれほど難しいものではありませんけど、私個人的には「え?それを問題にするの?」って感じです。

みなさんにとって今回の問題は難しいでしょうか?簡単でしょうか?それとも「なんでやねん!!」って感じでしょうか?

まぁ、一度問題を見ていきましょう。

固定電話市場における電話サービスの概要
問題文章
固定電話の市場では、ドライカッパを利用したアクセス回線をユーザ宅に引き込んで接続する【直収電話】、光ファイバ又はDSLを利用したIP電話など、技術革新が急速に進展している。

加入電話においては、携帯電話の普及、電話サービスの競争などにより、採算が取れない地域では【ユニバーサル】サービスを維持することが難しくなる恐れがある。
このため、将来に渡り引き続いて、利用者に公平で安定的な【ユニバーサル】サービスを提供できるように、電話会社全体で費用を負担しあう制度が導入されている。

また、IP電話は番号体系によって、050-IP電話と【0ABJ】-IP電話の2種類が提供されている。
050-IP電話は「050」の専用番号を割り当てたサービスであるが、【位置】情報を取得できないため、事業者によっては、緊急通報などを利用できない場合がある。

さて、いかがでしたでしょうか?

まぁ、イロイロ突っ込みたいのは山々ですけど、とりあえずポイントを説明していきますね。

IP電話を個人宅や会社で利用するためには光ファイバ又はDSLを利用することになるのに対して、直収電話ってやつではメタルケーブルを直接建物に引き込んで利用します。
いわゆる一般家庭にある普通の電話を想像したらOKです。
ここで、「普通の電話」って道路に立っている電柱から家まで電線が張られて、家の中までメタルケーブルを引き込んで使うでしょ?あれのことです。

次にユニバーサルサービスって言葉が出てきますけど、これを解説すると・・・「全国どこでも一律にほぼ同じ価格や条件で利用できるサービスのこと。生活に不可欠なサービスとして、国民全般に公平かつ安定的に提供されるべきサービスを指す。」だそうです。
電話料金の明細書などに「ユニバーサルサービス料」なんて項目があって、一定料金を徴収されていたことがありましたけど、これはそのユニバーサルサービスを維持するために利用者に一部負担させるための料金ですね。

次は「050-IP電話と0ABJ-IP電話」って言葉が出てきますけど、公衆IP電話サービスのために050って番号を割り当てられたものと、普通の家庭用電話と同じような番号帯を割り当てられたものがあるよってことです。
要は050-XXX-XXXXXって番号を割り当てられたIP電話は地理的な縛りもなく番号を利用できるメリットがあるんだけど、利用者側にとってはどこの番号だかわからないし、電気通信事業者にとっても位置情報が取得できないために地理的に割り当てたいサービスを提供できなかったりするのよ。

つまり、たとえば東京の人が110番をダイヤルすると東京の警察署に接続されるし、大阪の人が110番をダイヤルすると大阪の警察に接続って感じで地理的な割り当て(主に緊急通報)をしたくても、050の番号では番号が地理的に割り当てられず端末依存なのでどこから発信しているのか位置情報を取得できないから利用できない場合(難しい)があるってことなんですよね。

「じゃぁ050なんて番号を止めて、全部0AB-Jの番号にすれば良いじゃん!」って言われそうですけど、0AB-Jの番号帯を取得する為には総務省で定められた基準を満たす必要があって案外難しかったりするんです。
音声品質とか料金とか安定性も求められるし、アクセス回線を自前の設備に直収しなければならないし、緊急通報にも対応できていなければ総務省が求める用件を満たすことができないのよ・・・

最後に「0ABJ」って何?ってことですけど、これは一般的な電話番号のことだと思ってください。
皆さんの自宅にある据え置きの直収電話って、電話番号は市外局番から見ていくと東京なら03XXXXXXXXって感じで、大阪なら06XXXXXXXXのように「0」から始まる10桁でしょ?だから「0」で始まるユニークな番号って意味でアルファベットで表して「0ABCDEFGHJ」とするから短縮して「0ABJ」っていうの。

気づいた人は「あれ?アイがないじゃん?」って思うかもしれませんけど、電話屋さん業界ではアルファベットのI(アイ)は数字の1(いち)と見間違うことがあるのであまり使わないんですよね。
例えば、MDFのバーチカル列だってA列・B列・C列・D列・E列・F列・G列・H列・J列って感じでアイは使わないことが多いんです。
電話屋さんの独自ルールってやつですね。

いや、普通そんなこと知らないよね?

あれ?知ってた?



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