
「パケ詰まり」とは一体何なのかと小一時間・・・
ココ最近「パケ詰まり」という単語を頻繁に耳にする。
電気通信を生業とし、伝送交換の業界に身を置くものとしては若干興味が沸いてきたのよ。
皆も興味あるでしょ?
・・・あれ、ない?
まぁ、皆さんの興味はともかく今日は電気通信主任技術者の話題から少し離れるかもしれませんけど「パケ詰まり」って一体何なのか、どういう症状で何が起っているのかを少し考えてみたい。
パケ詰まりとは?
言葉を聞くだけでなんとなく想像つくと思いますけど、「パケ詰まり」の「パケ」はパケットのことです。
簡単に言うと、パケットが詰まっている状態のことですね。
一見したところモバイルデバイスの電波状況だけで判断すると、回線の確立はされているように見えるのにWebにアクセスできない、コンテンツを閲覧できないような状況になっており、パケットが流れない状況になっていることを「パケ詰まり」と言うようです。
回線自体が正常に接続確立されているのにWebを見ることができないということは、コンテンツ自体の問題であったり、モバイルデバイスのブラウザの問題であったりする可能性も捨てきれませんけど、ココではそういった症状は無視して、パケットの送受信に問題がある場合だけを見ます。
パケットの送受信に問題があり、Webコンテンツを閲覧することができないということは、言い換えるとデータのダウンロード及びアップロードができていないことを指します。
なんだか回りくどい書き方になりましたけど、「パケ詰まり」の症状は回線に接続確立されているのにデータのダウンロード及びアップロードができない状況を言い、コレを「パケットが詰まる」と表現したものです。
原因に対する憶測だったり?
このパケ詰まりは特定の機種で頻発しているようなのですが、その原因に関してLTEへ帯域を割り当てるために3G帯域が圧迫されてるんじゃね?なんて噂を聞いたことがあります。
いや、でもねぇ・・・
以前当ブログ「電気通信主任技術者のススメ」でもLTE技術に関して照会したことがあるんだけど、そこではこんなことを書いています
まず、LTE通信を行う際に使用する電波は3G通信と同様のものを利用します。
ただし使用する周波数帯域やレンジは3Gと同じであっても、通信方式が異なるので3GとLTEはお互いに使用しても回線自体の混雑の原因にはならず、通信速度が速いことが特徴です。
今現在の3G回線では利用者数の多い市街地などではトラヒックの高まりによって通信速度が遅くなりがちですが、このLTE通信はこのトラヒックを回避し高速通信が可能であることから現在注目を集める技術です。
うむ、この「周波数帯域やレンジは3Gと同じであっても、通信方式が異なる」って部分がキモで、LTEの加入者を増やすために3Gの帯域を削っているわけじゃないのです。
ですから、「LTEへの帯域を割り当てるために3G帯域が圧迫されてるんじゃね?」ってな憶測はちょっと考えにくいし、その考えなら機種に依存せずにどのLTE端末でも症状が出るはずですよね?
「パケ詰まり」の定義?
なんだか世間では「パケ詰まり」「パケ詰まり」って気軽に口にされていますけど、実際どのような定義の症状なんでしょうか?
この記事でも何度も書いていますけど、その症状は「回線に接続確立されているのにデータの送受信に不備がある感じがする」ってな具合です。
あくまで「感じ」なんです。
ココではプロトコルのエラーでも、明らかな端末障害でもないですし、その症状に明らかに「コレがパケ詰まりである!」という明確な態様はなさそうなんですよね。
あくまでも感覚的に「詰まった感じがする」です。
先日モバイルデバイスの市場規模やユーザ動向を分析されている研究機関で「パケ詰まり」の調査がされたことが話題になっていたようですが、ここでも調査方法はとてもザックリしたものでした。
その方法としては「XXのサイトのトップページにアクセスするのに平均XX秒で表示されるところをXX以上の時間がかかる場合と表示に失敗した場合をパケ詰まりとする」って感じだったそうです。
なんとも感覚的な調査ですよね?
原因はハッキリしないけど、キッカケなら・・・
前述のような調査方法で、回線を捕捉している状態で「繋がるのに時間がかかる」「繋がらなかった」をパケ詰まりとするのであれば、トラヒックに大きく関わっているのは想像に易いと思います。
実際にその調査方法で測定した結果は、サラリーマンさんや学生さんたちで溢れかえる時間帯・・・つまり通勤・帰宅ラッシュ時間で、かつ利用者数の多い交通機関の駅などでパケ詰まりが多発していることがわかったのだとか。
どうやらパケ詰まりはトラヒックと深く関連しているようデス
でも、私個人としてはトラヒックが原因なのではなくて、深く関連している・・・つまり、トラヒックが原因ではなくキッカケになっているように感じています。
なんとも言葉遊びのようになってしまいますが、トラヒックが根本の原因なのであれば利用者数が多い時間帯・場所では繋がらなくて当然だと思うんですけど、このパケ詰まりのポピュラーな解消方法は「電源のOFF/ON」だったりするの。
トラヒックが高くて繋がらないのであれば、個人の持つ端末の電源を切ったってトラヒックが下がるわけじゃないから、「電源のOFF/ON」で症状が解消するのであればトラヒックが根本の原因であるとはいえませんよね。
繰り返しますが、パケ詰まりはトラヒックが原因ではなくトラヒックがキッカケだといえます。
他にもある対処法
多分パケ詰まりが発生したときの対処法は「電源のOFF/ON」、つまり端末の再起動が一番ポピュラーだと思う。
他にも下のような対処法で状況が改善することがあるようです。
- LTE通信をOFF/ON
- ネットワーク設定をリセット
- SIMカードの再挿抜
- 機内モード機能をON/OFF
・・・など
どれも、根本的な改善になってるワケじゃないだろうし、本当にそれで状況が改善されるのかは不明確です。
でも、一ついえるのは何らかの方法で「再接続要求」を行って復旧しているってこと。
最後に・・・
パケ詰まりに関してキャリア側も明確な根本原因が究明できていないため、確実な対処方法は公表されていないようです。
ただ、どうやらトラヒックが高い状況で発生しやすく、再接続要求を行えば状況が改善されているようなので、キャリア側や各種メーカーの工夫次第で何とかなるような気がする・・・
例えば、昔は一部のPHSや携帯端末どででは「再接続ボタン」とか「Searchボタン」などを実装していて、最寄の基地局やアンテナを再走査・再接続を行うボタンってあったじゃないですか?
あんな感じのボタンがハード的であれ、ソフトウェア的であれ作ることができればユーザの不満は軽減されると思うんだが・・・
どうですかね?
ご指摘をいただきました
閲覧者様から当サイトのLTEに関する記述についてご指摘をいただきました。
無線技術の現場に従事される閲覧者様だそうで、とても鋭い技術的な内容でしたので、ご本人様に了承を戴いた上で掲載させていただきます。
「LTEの加入者を増やすために3Gの帯域を削っているわけじゃない」とありますが、
めちゃくちゃ削ってます。削らないとLTEが置けません。
(ただ、事業者によって対応に差異があります。LTE専用バンドがあれば解決します。)
3G/LTEの帯域は、共用が多く。
LTE速度を上げようとすると、3Gで使っていた帯域を削らなくてはなりません。
他の帯域に3Gユーザを持っていければ簡単なのですが、
古い端末が対応してるかどうかという問題もあったりして、一筋縄ではいきません。
あと、LTEの規格値は下り最大300Mbpsです。
(現実的には4x4MIMO対応するのが難しそうですので、2×2 MIMO 150Mbpsが目下の目標)
ただし、150Mbpsエリアを作るには20MHzの帯域幅が必要で、
同一バンド内に3G回線を残そうとすると、せいぜい10~15MHzが限度なのです。
各事業者とも、いろいろ工夫を凝らして3Gを残しつつ、LTE帯域の確保に努めています。
「3GとLTEはお互いに使用しても回線自体の混雑の原因にはならず」
→ 全く同じ周波数は、利用できません。無線である以上、互いに干渉します。
むしろ、LTEは原理的に3G(CDMA)より干渉に弱かったりします。
参考になるご指摘ありがとうございました!!!
あなたにオススメのコンテンツ!
FaceBookでチェック!
「電気通信主任技術者のススメ」は少しでも学習のお役に立ちましたか?
もしよろしければ、ぜひ「いいね!」していってください。
また何か新しい発見をお届けできるかもしれません。
遅レスですが、パケつまり何かしらのきっかけでリクエストが返ってこなかった大量のリクエスト命令が、
プログラムがタイムアウトすることもなく、ただひたすら処理しようとして、
通信可能になっても、その処理がデバイスを専有してるがために新たなパケットを通信できない状況では・・・